相続「推定の及ばない子」の用語解説
推定の及ばない子とは、妻が婚姻中に懐胎した子(原則として嫡出推定の及ぶ子)でも夫と血縁関係がないことが明らかな場合の子をいいます。
民法上、婚姻の成立から200日後,離婚の成立から300日以内に生まれた子は夫の子だと法律上の推定を受けます。この推定を覆すために「嫡出否認の訴え」という厳格な手続を定めています。もっとも、以下のような事情により、その夫の子でないことが明らかな場合にまで、上記のような厳格な手続きを要求する必要はないということで、「嫡出推定の及ばない子」という概念を設け、それに沿った手続きを創設したものです。
嫡出推定の及ばない子の例:夫の在監、失踪中に妊娠した子。 生殖能力が医学的にない夫の場合 夫が長期にわたり海外に滞在している 血液型の違い、人種の違いなど血縁がない
推定の及ばない子の場合、父子関係の確認は嫡出否認によらず親子関係不存在確認の訴えによります。なお、推定の及ばない子は、(婚姻成立の日から200日以内に生まれた子である)推定を受けない嫡出子とは異なります。
書籍掲載「相続&事業承継で頼りになるプロフェッショナル100」(ダイヤモンド社)