相続「持ち戻し」の用語解説
持ち戻しとは、遺産分割において、生前被相続人から特別受益を受けたものがいる場合に、その特別受益を相続財産に加えて具体的な相続分の算定を行い、相続人間の公平を図る制度のことをいいます。
なお、被相続人が生前贈与または遺贈をした相続人も含め、財産は法定相続分に従って分配するというような意思表示をすること、つまり、特別受益(生前贈与及び遺贈)を持ち戻しすることなく相続財産を確定し、相続分を決定することをいいます。
具体的な算定式は以下のとおりです。
1 (相続開始時の相続財産価額) + (特別受益額) =みなし相続財産額
2 (みなし相続財産額) × (法定または指定の相続分) =各人の本来の相続分
3 (本来の相続分) - (特別受益額) =各人の具体的相続分
また、遺言書で特別受益者に対する持ち戻しの免除を記載することができます。生前に特定の子供への結婚資金や家の建築資金の援助等を行い、自らの相続の際にはそれを考慮してほしくないという場合には、相続争いを予防するためにも、持ち戻し免除の意思表示を行っておくことが必要となります。
(持戻しの免除)
特別受益については、 被相続人が持戻しを希望しない意思を表明している場合には、持戻しを行わないことになります。これを特別受益の「持戻しの免除」といわれます。
持戻しの免除が行われれば、各人の具体的相続分の算定にあたって特別受益は考慮されません。